八坂神社提灯祭
名古屋市西区名西



 ろうそくの灯が燃え尽きたら終わり。例年はそうなのだが、今年は俄か雨で7時すぎに店じまい。こうなると、地元の方は大変。雨が降らなくても、祭りの後、役員さんは大変に変りないのだが。
 町内の輪番で15年に一度の大役ですよと言いながら、あわただしい地元の皆様の脇で、 名残おしんで提灯山を見上げていた。本降りにならなくて、よかったですね。

 僕は、美濃路界隈の祭りに足を運んでインターネットで紹介している。もう5年程になる。季節の花のように、その時そこへ行かないと、本当の姿や匂いを知ることができない。一期一会とでもいうのだろうか。僕はそれが好きだ。その日を逃すと、一年待たねばならない。一年待って、やっと拝見出来た時は、「どうもありがとう」と自然に思う。大抵の祭りは神社の大祭なのだが、今日こうしてこの場にいられること、それ自体に感謝の心がわいてくる。難しい講話より、一年に一度の祭りが、信仰心を受け継ぐイベントのように思える。


 あいにく時計を持ち合わせていなかったので、雨が降り出した時、「今何時ですか」と声を掛けた。その方と少し話しが続いた。その小島さんも僕と同じ団塊の世代。子供の頃の夜店の話などで、結構話し込んでしまった。ほんとうは、もう少し、この提灯の雰囲気を楽しんでいたかったのだろう。お互いに。
 缶ビールを調達してきて、「まあー飲めや」となってしまうと腰が据わる。実は、これが祭りの醍醐味。祭りは、地元の方と見るのが一番。通行人の祭り見学で終わるか、祭りが命といった地元贔屓の輪に入るか、雲泥の差がある。踊るアホウに見るアホウというが、この事を言っている。
 「楽しかったです。ありがとうございました」とお礼を述べ、僕は境内を後にし、すっかり暗くなった街道に出た。地元商店の倉庫から明かりがあふれている。一年に一度のお祭り、皆さんをお招きしてプライベートパーテイのようだ。
先ほどの小島さんが、手招きをする。「写真一枚撮ってよ」ということ。缶ビールのお礼に、「まかして、ガッテン」とシャッターを切った。


 実は、昨日まで、この祭りを知らなかった。祭検索サイトで5月の祭りをチエックしていると、「栄生」という文字に目が止まった。「八坂神社」。あれれ.....。
 美濃路の名古屋宿。四間道はもう超有名ブランド。そこから庄内川までの東枇杷島は、昔風情の町屋もないので写真で紹介されることもない。信長と白山神社ということで紹介されることがある程度だろう。「八坂神社」。確かにあったはずだ。

 提灯祭 提灯山笠 八坂神社 名古屋市 西区 美濃路 キーワードをいろいろ組み合わせて検索をしてみる。なかなか、これといったページが引っかからない。やっと一枚提灯山の画像が現れた。
 僕はその一枚を見て、カメラの用意に取りかかった。八坂神社の電話番号をメモした。地図を開け、散策ルートを決めた。午前に雑用を処理して、3時までにあれを片付ける。4時に出発、名鉄国府宮で普通に乗り東枇杷島で下車。スケジュールも立てた。

 多分、この祭りは僕の期待を裏切らないだろう。そう予感した。美濃路をインターネットで紹介していて、この祭りを知らなかった。それはきっと通用しない事だろう。



 クラシックホテルには「コンシェルジュ」がいる。観光名所の案内からチケット手配、旅のプランづくりまで、お客のありとあらゆるリクエストに応えるホテルスタッフのこと。ホテルの印象を左右する「ホテルの顔」とも言える。
 来年、愛知でEXPOが開催される。3月25日から秋まで。名古屋で宿泊するEXPO来訪者も多いことだろう。EXPOの開催地は瀬戸市。2月開港の名古屋国際空港が玄関口。その間、やはり名古屋市が表玄関となるだろう。一流ホテルの一流コンシェルジュが、「今晩2時間程、時間があるのだが、何か日本のトラデイショナルな物を見学したい」とリクエストされたら、どうするのだろう。例えば、彼のブラウザの「お気に入り」にこのページがあったとしよう。「お客様、丁度よろしかったですね、今日、西区でこんなトラデイショナルなフェスタがありますよ。お近くですので、私がご案内いたします。実は、私、一度拝見したいと思っていました」ということになったら、どうだろう。僕は、今日、こうして拝見し、この祭りは期待を裏切らない祭りだと推奨する。
  堀田商店プライベートパーテイのゲスト、このお二人の笑顔からもわかると思う。イングランドからの彼女は「とてもファンタスティック」と答えてくれましたよ。


 コンシェルジュは、マニュアルのない仕事。その難しさが魅力でもある。クライアントから笑顔と感謝の言葉をもらう。最高の喜び、コンシェルジュとしての誇りでもある。
 一流と呼ばれるために、コンシェルジュは、日々、情報収集をしている。一流と呼ばれるためにはインターネットはなくてはならない武器である。このページが、何かのお役に立てば幸いです。



2004.5.15 by Kon