田縣神社
愛知県小牧市田県町153  TEL 0568 76 2906

2000年3月15日(木)
豊年祭り
written by Kon


   わたしは小牧市が生れ故郷。小学2年の秋、山里の分教場から町の学校へ転校した。明治村で有名な入鹿池の南、白山の麓の小さな村が私の”ウサギ追いし彼の山、小ブナ釣りし彼の川”である。今日は,この春大阪に転居する友人を誘い、祭り取材に。実は、私も初めて見るのである。

名鉄犬山線で犬山駅下車、小牧線に乗り換え

三つ目が田県神社前。

線路は愛岐丘陵の山麓と平行に走る。

単線の車窓を眺めながら

子供の頃の記憶にある山の表情を懐かしむ。


駅に降り立ち、携帯電話で友人と連絡。

彼はひと列車後からであった。

駅前を散策。

駅前には豊年祭りの案内板がある。

英語の案内も併記されている。

外人さんに有名な祭りである。


約束の11時に友人と落ち合う。

駅員にもらった祭り予定と地図をたよりに

まず神明社に向かう。

駅から県道を越え真っ直ぐ西に500m。




こじんまりした神明社の森には今日の神輿が準備されていた。

まだ、人影もまばら。

神明社は田県神社の御旅所。

ここから本社へ神輿行列。

これが豊年祭りである。


500mほと先の田県神社。

さすが、付近は屋台も出てにぎやか。

本殿前には外人さんも交えた賑わい。

本殿横の鳥居をくぐると奥の院。

五穀豊穣、子宝の神とし

人々がなでさすった大男茎形(おおおわせがた)が拝める。

鈴さえもご神体に因む形である。




1時前、祭りの役者が神明社に集う。

紺色の着物に烏帽子が露払い。

行列の先頭で清めの塩を撒く。


奥に見える陣笠に裃が先鋒。二名が参列。


錦の陣羽織が役員衆。10名程。

樽酒を仕込んだ車。 榊には絞り手ぬぐいの短冊。 古式では五穀の入った小袋が結ばれ これを参拝者が奪い合う慣わしだったとか。

1時には神輿を担ぐ氏子の厄男達も揃う。

130名程の同級生で、30名程参加。

この年は自然と同窓会となる。



拝殿では厄男達の安全祈願の御前祭が始まる。

境内には人があふれ、

樽木の香のするお神酒が振る舞われる。

外人さんとの民間交流も始まる。



突然境内の北東から木遣りの声

境内東の道を進み境内に。

巧みな演出に感心する。

この木遣り保存会が行列のしんがりを努める。

道中で観衆を沸かせるパホ−マンスも演出する。



2時、神輿行列の出発。

露払い、先鋒、猿田彦、役員衆、太鼓、笙、官女、そして神輿

祭神 玉姫(タマヒメ)の夫、建稲種命(タケイナダネノミコト)の人形を載せる。

大男茎形(おおおわせがた)

毎年、桧で新調される。

太さ60cm、長さ2m。

神輿は400kgになる。




木曽川から名古屋市に向かう上水パイプラインの上の遊歩道を神輿行列は進む。

厄男の肩はアメフトの選手のように、こんもり。

バスタオルをパット代わりにする。

首に赤をまくチ−ムと

青をまくチ−ムが

二つの神輿を交代で担ぐ。

400kgの神輿は大変である。

500mの道中を1時間半かける。



いよいよ、正面鳥居から行列が本殿に向かう。


本殿前の最後の神輿練り

神輿は本殿に納まる。3時半。

厄男の祈祷の神事のあと

社務所前の舞台からお餅投げが行われる。

女性は途中から悲鳴を上げ抜け出す程

人々は我も我もと投げられた餅を奪い合う。



私の指先を2つ餅はかすめて飛んだ。

運良く一つ握りしめた。

そばにいた友人とは、もみ合いの中はぐれた。

やっと見つけた彼もポケットから

一個とりだした。

めでたし、めでたし。



春まじかの穏やかな一日。

10万人の観客を集め

5時近くの日暮れとともに祭りも終わりである。



尾張平野と田縣神社

田縣神社と大縣神社



2000.3.18 by Kon
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