今伊勢古墳群


車塚古墳

一宮市今伊勢町本神戸目久井(むくい)

 寛政十二年(1800)編纂「尾張地名考」に下記記載あり。

目久井の切に方角山といふ山あり(中略) 寛政元年酉六月洪水の時方角山崩れて中程より 神鏡三面剣太刀矛など数多出たりし(以下略)

                現存出土品
捩形文鏡             1個 (則武氏所蔵)
変形半円方形帯四獣鏡  1個 (酒見神社所蔵)
方格規矩鏡           1個 (所在不明)
碧玉製管玉         18個
碧玉製T字勾玉       2個
鉄製直刀             1口
鉄製斧               1個
鉄製鉾               1個
 この古墳は、直径35m、高さ4mの円墳である。一説には全長70mの前方後円墳とも いわれる。 昭和43年に前方部が破壊されたが、 鏡の上に剣がおかれていたといわれ、出土鏡、玉類には朱が付着。 方格規矩鏡は犬山市の東之宮古墳でも出土している、捩形文鏡は 東海市兜山古墳で出土例がある。この古墳の年代は、三角縁神獣鏡 が認められないことより5世紀末の築造と推定された。

野見古墳
一宮市今伊勢町宮後、野見神社境内

直径20m、高さ1mの円墳。昭和36年発掘調査 主体部は撹乱されていた。
出土品
滑石模造品刀子(とうす) 2個
勾玉 1個
直刀 2個
鎧片、剣、鉾、鉄斧
墳丘から円筒埴輪の破片出土。5世紀前半(前V期)の築造と推定。


でんやま古墳
野見古墳の北東300m

直径22m、高さ3.8mの円墳 残存の墳丘半分部分を昭和36年発掘調査 出土品 管玉 1個 5世紀前半(前V期)の築造と推定。

この古墳郡では前W期、後T期(5〜7世紀)の古墳は確認されていない。


西口(さぐち)社古墳

一宮市今伊勢町馬寄

明治41年発掘、須恵器出土 7世紀(後UV期)の築造と推定

上町屋古墳

昭和14年発掘 7世紀(後UV期)の築造と推定
今伊勢古墳群では7世紀の古墳は上記を含め数基残存。

 周辺には、弥生時代後期の目久井遺跡、福塚遺跡がある。 古墳時代前期の集落跡が、馬寄地内、木曽川町門間地内ある。 下流、三宅川の稲沢市大塚古墳、日光川と三宅川の合流点の 奥津古墳などより構成されるこの水系の小国に関連する古墳群 ではなかろうか。

(以上、一宮市史より記述した。)


2000.5.31
by Kon