7時半頃、僕は名神高速上りの尾西バスストップへの階段を上った。9時8分のバスまで、
ここに車は入ってこない。Kenjiさんの車もメ−ルの添付画像で確認している。静かに旅の始まりを待った。 予定通り車が1台留る。Kenjiさんだ。初対面の挨拶を型通り済ませ、出発した。カ−ステレオから 因幡あきらの「わかって下さい」などが流れたりする。僕とKenjiさんは同年生れ。すぐに長年の旧知のような 錯覚に落ち着く。僕は不思議なのだが、ネットの知人とはこんな出会いは経験している。 三ヶ日SAで休憩。沼津11時着の予定に問題はないことを確認して本線に戻る。「後部座席のバックに 皮袋がありますから」。Kenjiさんの薦めで皮袋を開いた。そこには、磨製石斧がふたつ入っていた。 ひとつは刃先が研磨されている。あとは自然のままの石膚。もう一つは全体が丁寧に研磨されている。 ひとつは自家用、ひとつは商品といったところなのだろうか。軽く手のひらで掴める大きさ。その 重みを、僕は確かめていた。これがKenjiさんの古代に興味を持たせた品だったのだろう。 僕も少年の頃、こんな宝物を漁師のおじさんから「知床の港で手に入れた物だ」と譲り受けたなら、 やっぱり同じように古代の夢を追い求めていたに違いない。 バックから、もう一つ箱を取り出した。綿にくるまった矢尻が入っていた。刃先の薄い部分は 透明に近い。その黒く光る矢尻に僕は見入った。これがこの旅の主人公である。 沼津ICをOFFしたのは、11時少し前だったろうか。南に向かい、「千本浜」の案内板を見つけて 進路に違いのないことを確認。この旅でお世話になる原田さんの店の屋号「さかなや千本一」の 意味が、この標識で分かる。予定通り駐車場に車を入れ、3階の席亭に上がった。 仲居さんの案内で席に荷物を置き、エレベ−タ−前の待席で休憩。ご主人原田さんと s tanさん、かたばみさんらが登場。Kenjiさんが挨拶を交わす。その横の僕に、「ということは、Konさん?」 とs tanさんが僕に言う。「そうです、はじめまして」。「や−どうも」とアスベルさんと握手を交わす。 これで、やっと2年程のバ−チャルな交信がリアルとなる。 「さかなや千本一」は沼津の千本港の直ぐ脇のグルメ街にある。京風割烹。地元の淳也さん と原田さんの愛娘さんを交え昼食。ビ−ルを飲んで、改めて自己紹介なでをする。「古代であそぼ」 の古代史論は、スンダ大陸の話から展開されていて僕は好きだ。その執筆者「かたばみ」さんの 名はNiftyのハンドル名woodsorrelから来ている。そんなことが分かった。 昼食後、1時の約束の沼津高専に車2台に分乗して出発。沼津探索の始まりである。 |