国府宮裸祭 旧暦
2007年 3月2日金曜日(旧暦1月13日)



 旧暦では1ケ月は闇夜で始まり、闇夜で終わる。この周期が29.53日。半分の13日目あたりから夕暮れの東の空に丸い月が上る。正月のこの頃が新年祝賀行事のクライマックスとされた。古い祭は、十三夜、十五夜を開催日にしたケースが多い。尾張国総社の国府宮裸祭りは、この伝統を守りつづけている数少ない祭礼だ。

国府宮裸祭の日時 大鏡餅の奉納者
平成1年2月18日 中島郡平和町奉賛会
平成2年2月8日 一宮市丹陽奉賛会
平成3年2月27日 海部郡弥富町奉賛会
平成4年2月16日 稲沢市明治奉賛会
平成5年2月4日 小牧有志奉賛会
平成6年2月22日 西春日井郡清洲町奉賛会
平成7年2月12日 尾西市朝日奉賛会
平成8年3月2日 稲沢奉賛会
平成9年2月20日 海部郡甚目寺町奉賛会
平成10年2月9日 稲沢市大里奉賛会
平成11年2月28日 稲沢市中之庄有志奉賛会
平成12年2月17日 西春日井郡春日奉賛会
平成13年2月5日 稲沢市小沢奉賛会
平成14年2月24日 中島郡祖父江町奉賛会
平成15年2月13日 稲沢市千代田奉賛会
平成16年2月3日 江南市奉賛会
平成17年2月21日 師勝町奉賛会
平成18年2月10日 大口町奉賛会
平成19年3月2日 稲沢駅前下津有志奉賛会

 この表を眺めると、旧暦1月13日は新暦では2月初、2月終、2月中と周期的に変動することが分る。日本の旧暦は太陰太陽暦。純粋太陰暦だと、四季とのずれが生ずるので天体観測で修正する。閏(ウルウ)月を入れて調整するので30日以上ずれることはないが、微妙に半月程の誤差を繰り返す。江戸末期の天保暦は世界有数の精度であったといわれる。


 四季は巡る。春夏秋冬。昼が短くなり、極まるのが冬至(とうじ)。この日よい太陽は復活する。昼夜が同じに回復するのが春分(しゅんぶん)。その中間点を立春(りっしゅん)と呼ぶ。
 立春を起点に、年初と四季の始めを一致させたのが中国暦。日本の伝統行事は、これに従わないと季節感を失ってしまう。

 西洋暦は、冬至からすぐの新月(朔)を1月1日にして始まった。これには矛盾があり、翌年は新月ではなくなるのだが。ともかく、西洋暦と東洋暦には、1ケ月半ほどの開きがある。西暦を採用しても、クリスマスが終わった正月に「はだか祭り」とは行かない。まだ厳しい冬を耐える必要がある。
 陽差しに春を感じ冬の終の予感のなか、新年の安泰を祈るのが伝統の「はだか祭り」。従来の旧暦1月13日を守る必要があったのである。

 逆に、上の表から日本人がどんな季節感で新年を迎えていたか実感することができる。年賀=慶春。年賀状の呪文は、本来は季節にぴったりの挨拶であった。


 稲沢市の矢合は全国四大植木産地のひとつ。継木技術を特徴とし、取り扱う苗木の種類では全国一を誇る。県の植木センターがここにあり、「河津桜 (かわづざくら)」が満開であつた。



by Kon