平成15年度  虫送り

愛知県中島郡祖父江町島本
県無形文化財(昭和59年)



2003年7月10日



地区年番の納屋で馬とサネトモ様を作る




しばし直会(なおらい)



夕暮れ時、提灯を先頭に出発だ。




虫送りのため、田を回る


八幡神社に到着


たいまつとサネトモ様を燃し、無事の収穫を祈る


恒例の「虫送り」
被害がなければ、祭り気分のオマジナイで終る。 だが、実害があれば、祈祷師をたのみ、 村中で虫退治をした。消毒のない、江戸時代の話である。
毎年7月10日とは新暦なのだろう。旧暦では6月13日当たりか。
芭蕉の奥野細道
元禄2年旧暦3月27日(1689年新暦5月16日)出発
4月1日 日光
   あらたふと 青葉若葉の 日の光
5月29日 最上川の河港
   五月雨を あつめて早し 最上川
6月10日 鶴岡
   珍しや山をいで羽の初茄子び
7月4日 出雲崎
   荒海や 佐渡によこたふ 天の河
7月26日 小松にて
『源平盛衰記』の篠原の戦い、斎藤実盛を偲ぶ。
   むざんやな 甲の下の きりぎりす
 サネトモ様は芭蕉も知っていた斎藤実盛のこと。害虫は斎藤実盛の怨霊によるもの。祈祷や御札で鎮める。これも、農薬のなかった江戸時代の話し。全国的に広まっているのは修験者による流布だろうか。
猫の手も借りたいほど忙しかった田植え。
サオリ<早降り>で始まり、サノボリ<早上り>で終る。
サナブリ<早苗饗>、シロメテ<代満て>
いろいろな呼び方があるが、
田植えがすんだら骨休めをした。

祭り気分の「虫送り」ができるのは幸せだ。
いざの時は、よろしくね。こうして追い払おう。
それが、村落経営の「祭り」の意味。

斎藤実盛の件は、単なる「サネトモ」と「サノボリ」の言葉遊び。かって命を助けた源氏の若大将。諸国の戦に暮れたサネトモ73歳の6月、故郷でその義仲の軍勢に立ち向かった。覚悟の最後、何の未練もなかったはずだ。

       2011.8.31  by Kon