GISデータ仕様



 
JSGI2.0
 

 地理情報標準第2版(JSGI2.0)

 ISO/TC211の国際標準案に準拠し、運用面において、日本の国情へ適合させたもの。 それがJSGI2.0。概要が 国土地理院HPの「地理情報システム(GIS) 」で閲覧できる。197ページに及ぶ運用指針PDFもダウンロウドできる。 2002年2月に策定した省庁連絡会議の「GISアクションプログラム2002-2005」において、GISを用いた事務の効率化、迅速化、高度化を図るため、地理情報標準を率先して使用するとしている。
 地理情報標準第2版(JSGI2.0)の運用指針概要PDFで地理情報標準の動向は分かるのだが、具体的なXMLコード化規則の詳細は得られない。これは僕の想像だが、GIS業界は次世代地図言語UMLに進化しようとしている。その啓蒙期で具体的な成果が出ていない。各社独自仕様とUMLの間で試行錯誤といった状態ではなかろうか。
 GISは業界、学会のためのものではない。これからWebで地理情報といえば、HTMLからのアプローチが爆発的なニーズを持っている。このユーザーサイドでのGISをリードするのは既存のGISベンダーではない。Webクリエーターだろう。HTMLおよびXMLで、いかに地理情報をコントロールするか。ベンダー及びまとめ役として国土地理院のレポートに具体的なXMLコード化規則の詳細が見えてこないのは、ここだと思うのだが。
 JSGI2.0うち座標系に関しての記述で参考になった部分だけを転載しておく。

 ここに4つの座標系がある。
JGD2000,TP/(B,L),H
JGD2000/(B,L)
JGD2000
GRS80
 人口衛星によるGPSはGRS80で3次元XYZ座標系、あるいは地球重心からの距離と角度の3次元極座標系である。角度は地球が円ならば経度、緯度と同じだが、楕円だから地理上の緯度と赤道、北極以外では一致しない。最大は緯度45度で12分程度違う。
 生活関連の地図はそうはいかない。日常生活圏で地球の丸みを意識することはない。 北にいくら、東にいくらの平面地図で表現する。GISもこの範疇だろう。そこで、位置はあくまでXYとなる。日本測地系2000は測量法の公共座標ということだろう。最近ハンデーGPSも普及したのでXYではなく経度、緯度に親しくなっているが、あくまでXYに換算して地図に位置を示す。プログラムを書いてみるとそうすることになる。
 GPS時代のGISはどの表記を採用するのだろう?緯度、経度表記は日本測地系2000(緯度、経度)と()書きが加わる。JGD2000はXY系。緯度、経度の場合はJGD2000(B.L)と使い分けする仕様だ。
<datasetInformation id='datasetInformation23220'> <SC_CRS id='JGD2000'> <RS_Identifier>BL</RS_Identifier> <remarks>世界測地系</remarks> </SC_CRS> <datasetExtent> <surface id='surface23220'> <patch> <CRS idref='JGD2000'/> <controlPoint>492258.0000 126734.0000</controlPoint> <controlPoint>492622.0000 126734.0000</controlPoint> <controlPoint>492622.0000 126998.0000</controlPoint> <controlPoint>492258.0000 126998.0000</controlPoint> <controlPoint>492258.0000 126734.0000</controlPoint> <interpolation>planar</interpolation> </patch> </surface> </datasetExtent> </datasetInformation> </dataset25000>
 数値地図25000(空間データ基盤)のデーターヘッドの記述に <RS_Identifier>BL</RS_Identifier> とある。
 これで緯度経度表示と解釈出来る。では単位は何?
これを確認したくて国土地理院のHPに何度も足を運んだ。まだ見つからない。ダウンロードしたファイルの添付TXTに秒単位と書いてあった。XML文書中に記述しておくべきではなかろうか。
 BLだから、緯度(Breite)、経度(Lange)の並びと思うと、そうではない。値の桁数を見ればわかる。それはそうなのだが。

数値地図25000の平面座標値は
経度緯度の並びで秒単位


 
標準地域メッシュ
 

 総務省統計局をはじめとする政府機関が作成している地域メッシュは,〔昭和48年7月12日 行政管理庁告示第143号〕に基づく 「標準地域メッシュ」を使用している。GISの座標系はこれを歴史的に用いてきた。

 説明図(http://www.stat.go.jp/data/mesh/05-1.htmより)

区画の種類 区分方法 緯度の間隔 経度の間隔 一辺の長さ 地図との関係
第1次地域区画 全国の地域を偶数緯度及びその間隔(120分)を3等分した緯度における緯線並びに1度ごとの経線とによって分割してできる区域 40分 1度 約80km 20万分の1地勢図(国土地理院発行)の1図葉の区画
第2次地域区画 第1次地域区画を緯線方向及び経線方向に8等分してできる区域 5分 7分30秒 約10km 2万5千分の1地形図(国土地理院発行)の1図葉の区画
基準地域メッシュ (第3次地域区画) 第2次地域区画を緯線方向及び経線方向に10等分してできる区域 30秒 45秒 約1km .
2分の1地域メッシュ 基準地域メッシュ(第3次地域区画)を緯線方向,経線方向に2等分してできる区域 15秒 22.5秒 約500m.


 第2次地域区画と国土地理院発行の2万5千分の1地形図が対応関係にあり、調整が計られていることがわかる。なお,この地域メッシュは,昭和51年1月に,JIS制定されている(コード「JIS X 0410」)。
 楕円である地球表面は、日本全体を一気に平面にするとひずみが生じる。ひずみが生じないように小さな区間の平面をパッチワークのように繋いだのが測量法にもとづく公共座標で、19の地域から構成されている。おのおのの区間で座標原点X=0,Y=0がある。日本全体を考える時、それでは不便である。寸法の正確さを第一とする測量法とは別の視点で座標が必要になる。
 国土地理院発行の数値地図2500の座標は完全に公共測量座標系であるが、数値地図25000はGISで利用を主目的として日本全体をカバーできるような座標値が採用されるべきだ。経度緯度表記の理由だろう。


 
UTM座標系
 

 UTM(Universal Transverse Mercator:ユニバーサル横メルカトル)座標系は地球全体を経度6度ごとに60個の帯(経度帯:zone)に分割している。座標原点は個々の帯の中央経線と赤道の交点とし、X=500、000m、Y=0m。東西がX、南北がY。60の帯それぞれに座標原点が存在するので全地球座標ではない。日本に限っても51帯〜56帯に分かれる。
公共座標とUTMの関係(http://www.jmc.or.jp/faq/map/h_utm.html)

  1995年の阪神淡路大地震の時、被害状況を把握するために大阪府と兵庫県の地図データを並べて表示しようとしたが、大阪府は公共測量座標の6系で兵庫県は5系に属しているため、大混乱が生じたことがある。広域的に物を考える場合、UTM座標系のほうが望ましいのだが。UTM座標系でも中部と関東では座標の不連続が生ずる。
  以上のような観点で座標を考えるとして、現況は次のようだ。

数値地図25000=日本測地系2000の経度緯度座標(秒)
数値地図2500=日本測地系2000の公共測量座標系XY(m)
(北がX、東がY)


2003.11.22
by Kon