地理情報システム




 
コンピュ−タと地図
 

 1970年頃、コンピュ−タが普及すると同時に地図を 処理することが試みられた。大型計算機にとって、膨大な計算は手馴れた物。だが、地図を描くことは、 それほど容易ではなかった。初期の頃のプロッターは気の遠くなるような 値段だったろう。当然紙に描かせる。それが、プリンターからモニター に移って行くと、画面上で地図を描くことになる。
 1980年頃から、コンピュ−タはダウンサイズという方向に歴史を刻んでゆく。 超大型計算機に端末がぶら下がる。この最初のモデルはパソコンの出現で 行きつく先が変わった。集中ではなく分散が社会モデルの 結論になったようだ。
 地理情報システムGIS(Geographic Information System)の歴史 は1970年からといわれる。ということは、コンピュ−タを前提とした話だ。 ならば、地図と情報を結びつけるGISは、21世紀のコンピュ−タ 社会、ネットワークの上に構築されることになる。

 
GISソフト
 

 GISはコンピュータと共に生まれ、ネットの中で必需品となった。逆に、ネットに よる情報の増大がGISを育てているとも言える。ポータルサイトの地図に、 お店やイベント会場のページをリンクする。これは正に地理情報システムだ。 GISはインターネットの普及以前に始まった。高価な装置や学術目的 でないと公開されないデーターを利用して研究室や航空測量会社 で行われていた。衛星によるリモートセンシングで地球規模 のデーターが収集できるようになり、そのデーターの位置として 地図情報がクローズアップされた。僕もGISは、このトピックスから 情報を集めはじめた。
 パソコン通信の時代、「カシミール」というフリーソフトが生まれ話題になった。 日本地図を拡大して行くと山岳の3Dシュミレーションが見れる。これには衝撃 的だった。国土地理院の地形メッシュデーターを読み込み展開している。 測量データー、地名データーをリンクし、色と光の3Dシュミレイションをしてしまう。 大したものだ。この時集めた、数値地図は


 インターネット接続が出来るようになると、GISとリモートセンシングを 集中的に検索したことがある。海水とエルニーニョの話題などとても 興味があり、色んなサイトを訪問した。数値地図は国土地理院日本地図センター で情報をチェックしていた。 ESRIジャパン株式会社から FreeのGISソフトArcExplorerをダウンロウドして使ってみたりもした。 地図データーはソフトごとに形式が違うのが現状だった。ソフト自体、高価な ものであった。


 
地理情報
 


 GISは地理情報に人や物の情報をリンクさせ、抽出、検索といった データーベース技術で分析をする。例えば、斜面角度と穀物 の収穫高の相関といった解析をする。だから、GISの 基盤となる地図情報は、それに耐える精度が必要だ。そのための必要な 条件としてはこんなことが考えられる。
    オーバーレイ  
  • 複数の図形を組み合わせて新たな図形を生成できる。
    接合・分割  
  • ある図形を線分に分割したり、複数の図形を接合して1つの図形にできる。
    属性との統合処理
  • ある指標で色分けしたり、データーをリンクさせられる。
    3次元表示  
  • 目的によって斜めから見ることができる。座標データは、3次元的である。
    地図表示  
  • 3次元空間を地表のような2次元空間に投影し、地物等を平面的に表現できる。
    選択表示  
  • 対象地域に分布する多様な情報が、目的に応じて図形を限定して表示できる。
    投影変更表示  
  • 3次元空間を2次元空間に投影し、地物を色んな方面から観察できる。
    移動表示  
  • 自動車のナビゲーションのように自車車の位置をの中心に、地図を移動回転して表示できる。

    国土地理院は、「データについてのデータ」、メタデータ(metadata)を 集積してクリアリングハウス「手形交換所、clearinghouse」ともいえる 検索サイトを 構築している。いつかは、この国の3次元バーチャル空間が完成するだろう。

 
ブラウザ
 

 この5年程の間にインターネットが普及し、皆が情報を検索出来るように なった。コンピューターの機種とか国境とかは関係無く自由にできる。 その窓口がブラウザだ。ポータルサイトには地図検索サイトがある。 全国の地図が閲覧できる。
 この地図検索は、地図帳、ロードマップをデジタル化したもの。 ネット通信用のGIFやJEPGの画像をベースにスクリプト言語により リアルタイムに拡大縮小が出来る。  GISの成果は皆に開放して活用してもらう目的を持っている。 閲覧をどのようにするか、インフラ整備が問題であったが、 インターネットの普及がそれを解決してしまった。
 皆が持っているブラウザで、どんな地理情報を提供するのか。 これが課題になった。ハザードマップや地震時緊急情報を、 いかにして提供しライフラインとしての情報ラインを確保するか。 今、求められている物はこれだろう。

2003.10.15
by Kon