ブロ−ドバンド2001.6.7


 
IT後進国のIT僻地
 

 僕はSOHOなので仕事用に電話回線を2本所有している。自宅のオフィスに1本、駅前の事務所に1本。仕事場の駅前事務所はISDNのサ−ビス開始と同時に利用し、 常時接続フレッツISDNにも即対応した。自宅の電話はテレホ−ダイにしてあったが、 一気にフレッツADSLに移行しようと様子を眺めていた。隣町では3月からフレッツADSL が利用できるのだが、僕の町ではまだ利用できない。NTTにサ−ビス開始予定を聞いても 明確な回答は帰ってこない。6月から隣町でサ−ビス地域が増えた。
 日本のISDNユーザーは現在1000万という。ADSLは40万程だろうか。お隣の韓国では 当初からADSLで450万ユーザーの市場が形成され、TOP3社が熾烈な競争をしている。 これを基盤としてネットカフェのような新ビジネスも活況のようだ。何といっても 128Kbps以上にスピードが上がる可能性のないISDNと1500KbpのADSL のインフラ格差は歴然とした事実となってしまった。僕はIT後進国のIT僻地に 住む事になったようだ。
 アナログ時代の料金体系でIT革命の波に乗り出せば 電話料は2万円、3万円と請求される。この不景気、たまったものではない。せめて 常時接続にして7千円/月の電話料にしよう、やもうえず未来のないISDNの 常時接続フレッツISDNにもう1回線もすることにした。

 

ベンチャ−企業風土
 

 2001年5月29日、東京めたりっく通信が資金繰りに行き詰まる。

 東京めたりっくは首都圏で約2万5000人の加入者を持つ ADSLサ−ビス会社。加入者5万人が採算ベ−スという。 NTT回線の開放が円滑に進まず、本格参入したNTT東日本に、 利用者数で追い抜かれた。
 ADSLは,あくまでも光ファイバ−までの過渡的なインフラでは あるが、中期的には一時代を築くネットビジネス。まさに韓国で花開き、 今やベンチャ−でもなんでもない、実りの収穫時期なのだ。「ADSLどうですか!」 とひと声掛かれば、僕は追っかけて行って買っちゃいますがね。
 ベンチャ−を首都圏で起こすという発想自体がもう古かったような気がする。 1992年米副大統領が2020年目標の情報ハイウエイ構想を打ち出した。 通信先進のアメリカ東海岸ではなく、通信僻地の シリコンバレ−から1995年インタ−ネットは夜明けを迎え、あっと言う間に 第2、3のIT革命の波がおしよせている。IT革命も学ぶべき歴史をすでに 刻みつつある。つい最近マイラインという選択のチャンスがあった。 NTT以外にワクワクするような提案を期待したが、結局似たりよったり。 僕はNTTでいいやと決めた。

 

ISDNはなんだったのか
 

 ISDNは、ITU-T(電気通信標準化部門)によって定められた世界共通の規格で、 「Integrated Services Digital Network」の頭文字をとったもの。 この規格に基づいてNTTが計画したネットワーク構想「Information Network System」が 「INSネット」。
 従来の電話線をそのまま利用してディジタル伝送を行う「INSネット64」と 光ファイバーを敷設して、最大1536kbit/sという高速通信を実現する「INSネット1500」 と2本立ての構想であった。正確には「INSネット64」は何だったのかということなのだが。
 日本のアナログ通信からディジタル通信への第一歩「INSネット64」はアナログ回線用の メタルケーブルをそのまま使い1本の線で64kbit/sのチャンネル2本と、16kbit/sの1チャンネル が利用可能である。これがディジタル通信のメリット。 世界共通規格に準拠している「INSネット64」ではあるが320KHzの周波数帯域を使う 世界的にも珍しい方式。米国のISDNは80KHzの周波数帯域を使う。米国生まれのADSL の信号スペクトラムは320KHzの日本のISDNに干渉し,ADSL信号の減衰を招く可能性 があった。実証試験をして,懸念されたほどの信号減衰はないことが確認された。 このへんが日本のADSLスタ−トの出遅れであった。その後もNTTはADSLに乗り気 ではなく、2000年末にやっとGOサインが出た。「INSネット64」の次に光ファイバ− というNTTの予測にADSLが割り込んで来た。 それではメタルと光の世代交代はどうするか、意志決定には時間が掛かったのであろう。

 

ISDNは、いつ消える?
 

 フレッツ・ISDNのデータ通信は,NTT局内交換機を通る。 6年程の更新時には億単位の費用がかかる。一方,DSLは交換機を通さないうえ,世界で広く使われる 技術であり設備の価格も大幅に下がっている。通信設備の償却期間である 6年間先にISDNは商品ではありえないことは世界の情勢が決めてしまった。 僕は今、消えゆく商品を買わざるをえない。屈辱的だが、ベンチャ−の育たないこの国の 風土の悲しさなのだろうか。

 

次に来る波
 

 ADSLというベンチャ−が去った今、次は光か無線であろう。光か衛星かといった ほうが具体的なのだろう。どんなタイミングでどちらが僕のブロ−ドバンドとして 手に入るのだろうか。正にベンチャ−だ。次のステ−ジはNTTの一人舞台でない ことは確かだ。電力会社、鉄道会社、放送会社、どこがワクワクするような 売り声を掛けてくれるのだろう。その日を夢見て”消えゆく商品”を買うことに した。

−−−−−−−−−ニュ−ス追跡−−−−−−−−−−−−
[東京 21日 ロイター] 東京めたりっく通信は、「ソフトバンクのもと、安定した経営とより快適なブロードバンド環境の提供に努める」とコメントした。 ソフトバンクの100%子会社であるソフトバンク・ブロードメディアの100%子会社が 株の大半を所有すべく、既存株主と交渉にあたっているという。

 

On-Line Shopping
 

 ISDNはTA、ADSLはModem。 最近の商品をチェック。
TAは中古があるはずだ。僕の町の隣、一宮市ではADSLが利用出来る。 ISDNから乗り換えてTA不要な人もいるかもしれない。@138の掲示板に”御譲り下さい”の書き込みをしておく。
 次はオ−クションで中古を捜す。まずは落札価格を決めよう。最低値と最高値。 最低値は0円からでいのだが、「これ以上なら諦めよう」と言える値段を自分なりに決めておくこと。自分で決めたリ−ズナブルな最高値を持っていないとオ−クションの 醍醐味は味わえないよ。そこで、「[おいくら] 不要品 とにかく高く売る!」。こんなサイトも参考にしよう。

 結局、中古ル−タ−(新品定価5万円)を8250円でオ−クション落札しました。


2001.6.7
by Kon