WHIP!はどこへ行った!




 
ベクター画像
 

 2003年10月、NetscapeとMicrosoftのブラウザ戦争は終結し、結果的にIEがブラウザの90%を握ることになった。どちらでもいいのだが、二つの仕様が並立するのは困る。エンジニアとしてWeb上で地図やグラフや図面を公開したいのだが、スクリプトを使う段に、一方がレーヤー、一方がスタイルシートといわれると困惑する。今後NetscapeNavigaterはIEコンパチブルとして登場するだろう。それが業界の掟。エンジニアとしてはIE仕様に専心すればいい。W3Cはこの結果を追認してくるだろう。
 2003年10月はネットでの画期の時と歴史が刻むだろう。その今、なくてはならないが、まだない物がひとつある。ベクトル画像表示プラブインだ。
 「ない」と言えば嘘になる。マクロメディアのFLASHはベクトル動画プラグインでパソコンの90%にインストールされている。ベクトル画像が扱えるのだが、ラスター画像処理として利用されているケースが多い。
 パソコン画像にはラスター(ビットマップ)とベクターがある。これは誰もが知っている。デジカメやネット画像としてビットマップは知っているが、ベクター画像のことを本当は皆知らないのだろうと思う。最近PDFがネットで認知されgoogleにも直接リンクされているが、PDFも所詮ラスターだろう。無駄な余白をいっぱい抱え込んでいると思うのだが。
 エンジニアとしてCAD図面を扱っていると、CADのディスプレ表示がブラウザの中に入ればすごいのにと思う。ポータルの地図サイトでラスター地図を見てストレスを感じた時、つくづく思う。


 
WHIP UP
 

   WHIPとは鞭、WHIP UPで「叱咤激励」ということだろう。ベクター画像の雄は世界PCCAD市場の90%を握るAutoDesk。CADという限定商品、高価格商品を扱うAutoDeskはネットバブルに踊る必要もなかったのだろう。だが、「Webに対してお前は何をしているのか?」との叱咤に対する回答がWHIP!だったという。そのWHIP、DWFもAutoDeskはあまり重要視していなかった。adobeのPDFがネットで認知され、俄かに動き出したといった情勢だ。
WHIP! バージョン 対応ブラウザ 対応OS
whip4.exe
May 12, 1999
Microsoft
IE 4.01 or
IE 3.02 with
Authenticode 2.0
or
Netscape
Communicator 4.05 or
Navigator 3.01
NT4.0
or
Win98/95
whip31.exe
April 17, 1998

 2003年3月にAutoDeskのサイトを訪問した時、こんな情報であった。

機能Autodesk
Express Viewer
Volo View
Express
Volo View
価格 無料無料有償
DWF の参照
DWG/DXF の参照 
ダウンロードファイルサイズ 2MB未満25MB
正確なスケールの印刷 
正確なスケールのプロッタ出力  
印刷
スタンドアロンでの使用
ActiveX コントロール
カスタマイズ用 API の利用
3D Orbit、シェーディング表示 
計測機能  
軽量スケッチ、テキストマークアップ 
ActiveShape のマークアップ  
Object Enabler のサポート 
Autodesk Inventor IPT、IAM、IDW の参照 

 2003年10月にAutoDeskのサイトを訪問した時、こんな情報があった。

 そして12月、Volo View Expressは消えていた。Volo Viewは3次元パースを動的に表現する。とてもアトラクティブなソフトだが有償のアプリケーションになった。ここではVolo Viewの話題には触れない。DWFを"drawing Web format"から"design Web format"と改め、PDFと全面対決するのがAutoDeskの戦略のようだ。

 上の表をじっくり眺めると、ひとつの結論が引き出せる。
60万円もするAutoCADを一家に一台というキャンペーンは張れない。 ならば、DWGの市場を確保するため、閲覧、印刷用Volo Viewを投入しよう。 これがAutoDeskの戦略と仮定する。DWFというフォーマットは 必需品かといえば、そうではない。Volo ViewのスペックではDWGそのまま で十分機能する。
その延長に、AutoCADLTがあればVolo Viewは必要ないと仮定して、見えてくるものは何だろう。

 DWFはネットユーザが育ててゆかなければならない

 ビッグブルーIBMがPCという商品を市場に投入した。VGAからXGAへの移行を市場は拒否してTA文化を築いた。またもう一度その波がくるのだろうか。

 
Autodesk Express Viewer
 

 adobeのPDFとAutoDeskのDWFの全面対決で、無料のDWFViewerが手に入る。この環境でベクター画像が、広く認識されるだろう。 無料Autodesk Express Viewerをぜひ試されることをお勧めする。

 残念だが、20003年12月現在のAutodesk Express ViewerはWin98にはインストールできない。Win98SEが最低スペック。Win95/98の場合はWHIP!が必要になる。AutodeskのサイトにWHIP!関連コンテンツはすでにない。唯一、上記FTPサイトのルートだけが残されている。WHIP!は2次配布OKのfreeSoft仕様だから、もしこのルートも消えたらAutoCAD、LTユーザーに相談されるといい。DWFがネットで認知されればfreeSoftが生まれると思うが。少し様子をみよう。その時、なければ自作するしかない。Mac,Unix、DOSオールラウンドのDWFViewerがいつか生まれなければならない。そう信じている。


WHIP!をダウンロードしてからの概要を体験から記しておきます。
  • Whip31.exe(release 3.1-33 3309kb)をダウンロード
  • Whip31.exeをダブルクリックでinstall shieldが起動
  • 許諾書を読みOKで自動インストール
  • 自動インストールの内容は次のように推定されます。
    • \windowsに\occacheを作りwhip.ocxを保存する。
    • \windows\systemにwhiptk.dll等を保存する。
    • レジストリにactiveXコントロールのIDを書き込む。
    • 拡張子DWFにwhipを関連付ける。

 
DWFの書き方
 

 Autodeskの製品はどれもDWFを出力する。どのバージョン形式で出力するかは、決めておかなければならない。
AutoCAD R13J(1995年1月)
AutoCAD R14J(1997年6月)

AutoCAD 2000      
AutoCAD 2002      
AutoCAD 2004      
LT95
LT97
LT98
LT2000
LT2002
LT2004

DWF誕生
WHIP!3.1
WHIP!4
VOLO View Express
Autodesk Express Viewer

 AutoCAD R14に対応するLT98とLT2000の間でDWFの仕様が大きく変わったようだ。DWFのバージョンではV00.40とV00.50では構造が違う。256色パレットが廃止され FullColorコードで色が指定される。そのため、最近のDWFをWHIP!で読むと色化けする。このことを考慮すると、当面WHIP!3.1形式でDWFを作成するのが無難だろう。元のDWGは保存してあるので、状況によりデータの再構築は簡単のはずだ。

 WHIP!をインストールしてあれば、DWFとIEが関連付けられているので、ダブルクリックでIEの画面いっぱいにCAD図面が開く。手マークの移動、虫眼鏡の拡大縮小はAutoCADLTユーザーにはいつものこと。両者切り替えは右クリック。このメニューには画層のON、OFFと視点の選択タブへの入り口がある。ブラウザでCADを見ているのを忘れてしまうぐらいだ。

 さて、DWFファイルをHPのページで公開する方法を整理しておきます。MicrosoftWindowsOSでIEの環境を前提として記述する。

 DWFをネットで公開する一番シンプルな方法は、参照タグ<A href>を使うことです。 PDFはすでにそれが出来るでしょう。残念ながらDWFの認識度が低く、サーバー側が ディホルトで対応していない現状です。mime(multiple internet mail extensions)に"drawing/x-dwf"を追加するようwebmasterに申請する必要があります。小さなレンタルサーバーは対応してくれるかもしれないが、大手ではどうでしょう。自社サーバーを構築したくなるところうです。

 当面HTMLページに埋め込む方法が無難でしょう。

 IEはWindowsOSの一部であり、ActiveXコントロールで組み立てられている。 WHIP!もActiveXコントロール。オートメーションという通信機能を持っているのでOSとIEと連携プレーをする。HTMLページに埋め込むとIE管理のDOCUMENTに乗っかったオブジェクトになると理解しよう。そのための手続きとして以下を読んでください。

<object id="ABC" CLASSID="clsid:b2be75f3-9197-11cf-abf4-08000996e931" width=400 height=300> <param name="filename" value="xxx.dwf"> <param name="view" value="1000+2000+1000+2000"> <param name="namedview" value="ddd"> <param name="layerson" value="eee,ffff"> <param name="layersoff" value="hhh"> <param name="userinterface" value="on"> <param name="BackColor" value="244"> </object>

paramの説明
view(初期視点)は left、right、bottom、top の4つの値で指定。
userinterfaceは右ボタンクリックの操作がオンかオフかを指定。


僕が入手したViewerは次の3つ。
whip31.exe(WHIP! Version=3.1 AutoCADLT98に同梱)
classid="clsid:b2be75f3-9197-11cf-abf4-08000996e931"
ftp://ftp-2.autodesk.com/pub/whip/japanese/whip31.exe

WHIP4.EXE
classid="clsid:b2be75f3-9197-11cf-abf4-08000996e931"
ftp://www2.autodesk.jp/ftp2/whip/WHIP4.EXE

Autodesk Express Viewer
CLASSID="clsid:A662DA7E-CCB7-4743-B71A-D817F6D575DF "
CODEBASE="http://www.autodesk.com/global/expressviewer/ installer/ExpressViewerSetup.cab#version=4,0,0,160"


 ActiveXコントロールはjavaに対抗するMicrosoftの戦略でした。最新のコントロールを自動ダウンロウドする仕組みがobjectタグのCODEBASE属性です。しかし、ダウンロードに5分も待たされ、システム要件を満たしてないと断られたら、せっかくのDWFも見てもらえません。objectタグにCODEBASE属性を書くのは避けたほうが賢明です。上記3つを試した経験で、以下のようにアナウンスしています。
AutoCADの無料 Viewer
Autodesk Express Viewer Download
システム要件
Intel Pentium 200MHz
Windows XP 2000 98SE
32MB RAM  Internet Explorer 5.01 

Windows98/95はWHIP3.1またはWHIP4

(上記アドレスは2003年12月確認済み)


 
サンプルDWF
 


2003.12.26
by Kon