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AoutoCADLTにはモデル空間とペーパー空間という考え方があります。3次元 CADは皆そうなのですが、ドラフティングツールから出発した 2次元CADとは、ここが違います。縮尺や寸法、線種ピッチの設定には少し工夫がいります。線種ピッチ、寸法設定はどう変わったのだろう? |
どこの設計事務所にもドラフターという製図台がありました。設計図が手書きだった
時代、図面を書くのは大変なことでした。業務の大半をその事に費やしていました。
図面を描くとき、もっともむずかしいのは、尺度の設定と図面配置でした。一度
書き始めたら配置を変えることはできません。ある程度の実務経験を積まないとでき
ないことでした。 パソコンで製図をするようになり、その制約はなくなりました。平面、立面、側面 を完成させ、最後に図面枠の中に配置します。尺度をその時、微調整することも あります。ということは、設計の初期段階 から作図作業が始められます。構造物設計の本質は、最適な寸法を決定する ことです。図面を何度も修正しながら洗練した形を探ることが出来るようになりました。 AutoCADは、この点でも一番優れたCADではないかと思います。このCADには リアル空間とペーパー空間という考え方があり、作図はリアル空間で始めます。 この時、決めておくのは単位を何にするかということです。「1」を「1m」にするのか 「1mm」にするかということだけです。構造物は大抵「1mm」として実寸で書き上げます。 図面が完成するとペーパー空間に平面、立面、側面を割り付けます。 ペーパー空間は図面用紙と考えればいいでしょう。この時始めて 縮尺を最終決定します。 |
日用大工でポチの家を作ることにしましよう。まずは設計図を引きます。
パソコンでね。A3用紙に打ち出すとして、原寸では入りません。1/10の縮尺
としましょう。デザインを頭の中で画き、まとまったらCADを立ち上げます。
「ゼロからスタート」で始まる
AutoCADLTの初期画面はこのようなものです。
最初にすることは用紙枠を書くことです。 A3用紙寸法は420×297です。パソコンCADでは原寸で書きます。とういう 事で枠を縮尺倍しておきます。作図>長方形を選択して、キーボードで「 0,0enter 4200,2970 enter」と打ち込みます。これでA3の10倍の枠ができました。この中に 図面を書きます。最初座標軸が出ましたが、その原点は(0、0)だったことが 分りますね。 次ぎに補助線を引いておきます。形式>線種設定>で中心線(CENTER) をロードします。線種尺度10としましょう。色と線種を「byLyer」と設定しておきましょう。 同じく、形式>画層管理>で「補助線」という画層を新規作成します。ここを現在画層とします。こうして線を引きます。 現在画層は作業している画層のこと。作図した線や円はこの画層に収まります。 そして、線種設定で色と線種を「byLyer」と設定しておきました。ですから 皆同じ色と線種になっています。こうして、「文字」、「構造線」という画層を作り タイトルを書き、形を完成します。 最後は寸法線で仕上げです。形式>寸法スタイル管理>を開き、10xpとでも 名前を付けた寸法スタイルを作ります。 「寸法」という画層を作り現在画層にします。そして寸法引出しをします。 AutoCADLTの寸法機能は、自動で出来ます。点を指示して行くだけで 出来ます。更に、形状が変わった場合、寸法も含めてストレッチしてやると 自動的に数値が変更されます。この当たりの機能は、僕は十分満足しています。 ただし、寸法の微調整は慣れとテクニックがいります。寸法線は線と矢印と 数字とマーク点が一体になったブロックなのですが、分解してしまう こともできます。そうすると、この便利な機能は消滅します。AutoCADLT図面で 寸法機能を分解したものをAutoCADLT図面と言わないことにしています。 これで印刷します。「補助線」は印刷する必要がありません。そこで、この画層だけ 「非表示」にします。「表示」から「非表示」クリックして切り換えるだけで補助線はすべて見えなくなります。画層別に 作図する意味はここにあります。色は「byLyer」としました。画層の特性色を変えて見てください。一気に線の色が変わります。画層別に作画する意味をこれでしっかり理解して下さい。 変更に迅速に対応できるツールでなくては設計ツールになりませんもの。 さて、印刷はモデル空間から1:10の縮尺で実行します。 |
ここで設定した寸法スタイルを整理しておきましょう。形式>寸法スタイル管理>修正とすると次ぎのタブが開きます。 寸法図形の尺度とは、今回1/10ですから10と設定します。寸法矢印長さ とは印刷して仕上がった長さです。CAD側で今回 尺度10だから10倍の長さで自動展開してくれます。尺度が 変われば全体尺度を修正するだけで対応できる。 単位変換と許容誤差は土木の場合あまり関係ありません。 計測尺度は次ぎのような時に使う。部分詳細図を縮尺1/10の図面の中に 1/5で書いたとしよう。実寸の倍で書いておくことになる。自動寸法機能を 使うと寸法値は2倍となる。この場合、ここで0.5とする。 当然別の名前で寸法スタイルを作っておく。あるいは、その部分だけ0.5と設定 してから自動寸法機能を使う。終れば忘れず戻しておくこと。 |
パソコン時代の製図は、こうして行われる。作業のし方も、手書き時代とは
発送転換が必要だった。原始的に電子式ドラフターとして使われている部分も
あるが、そうではない。以前は線を引く人と寸法を計算して書き込む人が
分業していた。だが、原寸で作画して自動寸法機能で寸法線を引出すと、
電卓片手に計算することは必要でなくなった。逆に計算間違いのチェック
を自動寸法機能がしてくれる。綺麗で正確。これがCADである。ただし、
原寸でキッチリした構造線を書くこと。修正があったら即対応しておくこと
が必要。手書き時代は寸法の数字だけ直しておいたことが多々ありましたね。
さて、これが2DCADの製図手順なのだが、AutoCADLTでは、もう1歩 段階がある。「ペーパー空間」の利用である。おそらくLTの利用者でも「ペーパー空間」 を使うのは半数以下ではないだろうか。 |
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