AutoCADLT2002 Tips−10




 
DWF
 

 AutoCADの図面ファイルはDWG。バイナリーファイルだ。図面データー 交換用にDXFがある。テキストファイル。DXFはCAD業界の標準フォーマット といえる。最近のインターネット環境に対応してDWFファイルが登場した。 ブラウザで閲覧する目的のため開発された。AutoCADLTでは97からDWFファイル の出力をサポートした。DWFとは何だろう?

 
ビュワー
 

 DWFとは、AutoCADで作成されたCADデータを、 ブラウザで表示するフォーマット。 ベクトルデータであるCADの図面詳細をズームして確認できる。AutoDesk社が開発した形式。

  CAD図面をインターネットで公開する場合、GIFやJEPGで張り付ける方法が ある。縮小画像ならいいのだか、実寸まで拡大した画像は、JPGといえども ネットに流せるファイルサイズではない。ベクトルデータの特徴を十分生かし、 CADの図面詳細までズーム確認できる仕様は、さすがAutoDesk社開発の形式である。
  絵、画像をパソコンで処理する場合、ビットマップとベクトルの二つの 方法がある。パソコンの誕生の頃、能力の小さな環境で処理するため二つの方法は洗練されていった。写真はビットマップでしか 処理できないのでネット公開のためにGIFが生まれJEPGが作られた。
  一方、CAD図面は元々鉛筆書きのデータであり、どれだけ長い線でも 両端2点で表現できる。CADはベクトル方式で進化してきた。 CADを扱う私達は、図面データを圧縮してメールに添付して 交換している。両者がCADソフトを所有していれば不都合はない。 図面を書かないが、見だけの人が増えた場合インターネットで公開する 仕様が生まれなければならない。とりあえずGIFやJEPGを利用するとしても、 ベクトルデータをビットマップにしては非効率は明らかだ。インターネットで 最近PDFが定着したが、PDFも所詮ビットマップである。

  インターネットで音を流す場合を考えてみよう。WAVEとMIDIがある。 WAVEはビットマップ、MIDIがベクトルに対応する。MIDIは譜面記号を 送るのでデーターは軽い。だが受け取った側で再生するソフトを用意 しなければならない。そのためにブラウザに追加するプラグインを ダウンロウドしている。図面の場合も同じである。DWFをブラウザ で表示させるプラグインが、WHIP!である。 このWHIP!は、AutoCAD LT97から標準で製品CDに添付されている。ネットで無料配布されている。

  インターネットで図面が見れる。しかもCADベクトルデータの特徴 を十分生かし拡大縮小がスムースに出来る。無料プラグインで誰でも 見れる。生まれなければならないものが、また一つネットで誕生した。 その図面の一部にリンクが貼れる。このことを確認してDWFを利用し始めた。 地図に情報を関連させる。これはGISなのだが、万人が利用できる ブラウザで展開しなければならない。やっとプラットホームが出来た と思った。

 
DWFの書き出し
 

 AutoCAD LT98の場合、書き出しでDXFかDWFの選択をするスタイルだった。 LT2002ではすこし様子が違う。使ってみた。
 「ぽちの家」の図面をDWFで公開することにしよう。実は僕には愛犬がいない。 リンク先は当社のCADページとしました。DWFはデーター の軽さが命。まず、余分な作図補助線などは消しておく必要がある。設計変更を迅速対処するためオリジナルDWG には色々な仕掛けがある。しかし、印刷物として配布するなら、 設計作業は終了している。作業用データーは切り落としてしまおう。「リアル空間」 からどんなアングルでも平面展開できる。そんな仕掛けのデーターも 切り落とす。「ペーパー空間」データー、つまりレイアウトを出力する。 と言っても、 切り落としはAutoCAD LTでしてくれる。 この当たりは、AutoCAD LTで「ペーパー空間」を活用した人 には理解できるだろう。
 AutoCAD LT2002は、印刷を紙ではなくDWFファイルに出力すると考える。 レイアウトをアクティブにしてファイル印刷DWFeViewと選択する。 普通CanonとかEpsonのプリンターを選択するが、DWFeViewを選択 しOKをクリックすればDWFがファイル出力される。至極簡単。

 これをでページに書き添える。下の画像のHTMLはこのようなものだ。
<EMBED SRC="***.dwf" width="***" height="***" userinterface="off">

 JEPGとPDFとの比較をして見た。ファイルサイズは元の1/10になる。JEPEGは4倍程のサイズでないと見るに耐えない。PDFは元のDWGと同じ程度。ベクトルデータの特徴を十分生かしたDWFの勝利は明白だ。



 
DWF図面の見方
 

 上の枠が真っ白の場合はDWFのプラグインがインストールされていません。 最新のダウンロウド先は下記です。無料です。インストールをお勧めします。

 DWFビユワーはAutoCADソフトなしでAutoCAD図面を見るツール。 図面の修正はできませんが、ほとんどAutoCADと同じように拡大、縮小、画層の 表示/非表示の操作ができます。

 画面上で右クリックすると、画面移動、ズーム、印刷、保存に関するオプションが入っているポップアップ メニューが表示されます。
 [画面移動]をクリックすると手のマークが出ます。マウスの操作で見たい場所にします。右クリックすると小さなポップアップ メニューが表示されます。ズームをクリック すると虫眼鏡のマークになります。マウスを上下で拡大縮小ができます。これはAutoCADソフトの操作方法と同じです。
 キャンセルして元に戻り 右クリックして、[画層]を選択すれば、画層のダイアログが現れ電球アイコンをクリックすると、画層のオン (表示)またはオフ (非表示) ができます。
 [白黒]でモノクロにできます。ページ設定をして印刷も出来ます。[保存]でDWF ファイルをパソコンに保存できます。後からそのファイルを見ることができます。
 ハードディスクのファイルを ダブルクリックでブラウザ一杯のサイズで図面が開くでしょう。インターネットエクス プローラーがCADソフトに変身したような感じです。

 この閲覧ソフトは、当初WHIP! プラグインでしたが現在はAutodesk Express Viewerに進化しています。

Autodesk社提供Autodesk Express Viewer サイト。

 
図面資産
 

 最近、電子納品が一般化してきた。仕事で作った報告書や図面をCDに焼いて収める。この場合、HTMLの一覧表を作りDWFをリンクしておく。プラグインWHIP! も添付しておくことにしている。
  一度書いた図面を繰り返し活用できる。これがCADのメリットでもある。だが、どこにどんな図面があるか分らない。それでは資産と言えない。このDWFは、CAD図面一覧表に大きな効果をもたらす。 長く継続していけば、その効果はもっとはっきりしてくるはずだ。過去に遡り、自社作成CADのDWF一覧を作ろうと思う。

 2003年9月のZDNet/USAは「PDFフォーマットが、ライバルからの批判にさらされている」と報じている。Autodeskは最近、積極的な広告キャンペーンを開始し、文書の共有にPDFではなく、DWFを使うよう顧客に促しているという。
 さらに、Macromediaは文書を容易にWebページに統合したり、印刷できる新コンポーネント「FlashPaper」を導入。これは、広く使われている同社のアニメーションフォーマット「Flash」をベースにしている。「Flash」の動画はベクトルデーターで有名である。
 「大事なのは、印刷とオンライン情報を区別することだ。PDFを印刷用の情報の配信に使うことにはまったく問題はない。問題は、PDFが文書の印刷のために作られたものだという点にある。情報をパッケージする方法がページ指向的なのだ。PDFが、コンピュータの画面向けに最適化されることはないだろう」とむすんでいる。
David Becker, ZDNet/USA
http://zdnet.com.com/2100-1103_2-5078712.html


2003.10.15
by Kon